中村 友胤(ナカムラ トモツグ)
プロフィール
東京都在住のサウンドアーティスト。
楽器とフィールドレコーディングの音を同時にプロセッシングする手法で奏でられる独自のサウンドの人気は高く、これまでにLAAPS(仏)をはじめとするの国内外のレーベルから作品をリリースしている。また近年は、音楽と音の間をテーマに、ギャラリーや読書カフェなどの空間演出なども手掛けている。
Bandcamp
https://tomotsugu.bandcamp.com
Instagram
https://www.instagram.com/tomotsugu_n/
Twitter
https://twitter.com/tomotsugu
楽曲
backward to blue
コメント
昔、市川準監督の「トニー滝谷」という映画を鑑賞した際に、素晴らしい映像美とストーリーの物語が終わると同時に、エンドロールを食い入るように観ていた。あまり予備知識なく観はじめたため、劇中で流れていた静謐で美しい音楽がいったい誰の作によるものかを知りたかったから。ほの暗い画面にせりあがってきたのは、「音楽:坂本龍一」の文字。それまでも坂本さんの音楽にハッとさせられることはあったが、その時ほど無視できない先達の偉大さを感じたことはなかった。ちなみに市川監督のオファーは「流れているのがわからないくらい印象の薄い音楽を作ってくれ」だったそうだが、自分がそういう耳で聴いていたせいか、映像やストーリーと溶け合いながらも、その音楽はしっかりと心の奥へと浸透するものだった。これまでとどけていただいたたくさんの感動への感謝を弔意とかえさせていただきたい。
今回、たいへん光栄なことに追悼トリビュート盤へのオファーを受け、坂本さんが手がけていたいかなる領域の音楽を作るべきかたいへんにまよったのだが、ジャンルから考えるのではなく、坂本さんもおそらく共通してもっていたであろうテーマ〜音と音楽を区別しないところで鳴っている美しいなにか〜をめざしてみることにした。坂本さんというとやはりピアノサウンドが印象的だったので、ピアノからはじめた。また僭越ながらピアノのたった2音だけ「トニー滝谷」のサウンドトラック「bottom」と「harmonics1」よりサンプリングさせていただいた。みなさんに楽しんでいただけると幸いです。