Nobuto Suda(ノブト スダ)
プロフィール
1985年生まれ。京都出身、山口在住。子供がおもちゃを弄るようにギターやピアノ、環境音などの音をDAW上で混ぜ合わせて楽曲のようなものを制作している。過去には様々なDIYレーベルから少部数で作品を発表していた。二十代後半から学問がしたくなりアルバイトをしながら独習。現在は山陽小野田市立山口東京理科大学薬学部に在学している。
Bandcamp
https://nobutosuda.bandcamp.com/
Soundcloud
https://soundcloud.com/nobutosuda
楽曲
A memorial piece for Ryuichi Sakamoto
コメント
ショパンの夜想曲第2番 変ホ長調 作品9-2を基にして制作したアンビエント曲。
二十代後半からピアノを練習し始め、バッハのシンフォニアすら満足に弾けない自分からすれば坂本龍一氏は全く縁遠い存在であり、氏の問題意識も、また音楽に対する視野も自分は理解出来ていないだろう。けれど音楽は高度な教育の所産である前に、耳に伝わった空気の振動により生じた聴細胞の興奮を操る人間の文化活動である。古代エジプトの壁画様式は2500年間共通していたが、その様式が絵画表現のあり方を網羅していたわけではないように、各感覚器官を用いた人間の文化活動のある様式が、必ずしもその器官を用いた表現の可能性を網羅しているとは限らないだろう。
坂本龍一氏がが音楽教育のいわゆる生粋のエリートであったにも関わらず、非楽器音、環境音へのアプローチをも行っていたのはこの様式と可能性のずれを、音楽を専門とする者として無視することが出来なかったからではないだろうか。その点で自分は、坂本龍一氏は一人の学究者として誠実な方だったと思う。
楽器、非楽器といった分け方よりも、自分はその表現を通して何がしたいのかという目的に目を向けることが大事なことだと考える。なぜならどのような音楽ジャンルであれ、それは人間の文化表現であり、その行為には意味と目的があるからだ。
自分の提出した楽曲が、故人を悼むという目的にとって不適なものでなければ良いと願う。